不登校になると、本人も保護者も「このままでいいのだろうか」という強い焦燥感に駆られます。
特に中学3年生ともなれば、周囲が受験モードに入る中で、朝起きられず一日中ゲームをしてしまう自分を責めてしまう子も少なくありません。
本記事では、不登校支援の現場知見に基づき、心の回復段階に合わせた家での過ごし方や、無理のない学習習慣の作り方を具体的に解説します。
1. 不登校の過ごし方は「回復の3段階」で決まる
不登校の解決において最も大切なのは、今の状態が「どのフェーズにいるか」を見極めることです。
段階を無視して「勉強しなさい」と促すと、かえって無気力を長引かせる原因になります。
【フェーズ別】状態と過ごし方の目安
| 段階 | 状態 | 過ごし方のポイント |
| ① 初期 | 心身が消耗し、無気力。 | 「何もしないこと」を許容する。 睡眠と食事を優先。 |
| ② 中期 | 表情が明るくなり、会話が増える。 | 「家の中での役割」を作る。 軽い家事や散歩。 |
| ③ 後期 | 将来への興味や不安を口にする。 | 「外部との接点」を模索。 学習や進路の情報収集。 |
① 初期:まずはエネルギーの回復が最優先
不登校になって間もない頃は、脳も心もガス欠状態です。
- ポイント: 起床時間だけは極端にずらさない(昼夜逆転の防止)。
- アドバイス: ゲームや動画も、この時期は心の麻酔として必要な場合があります。まずは「家は安心して休める場所だ」と実感させることが回復への近道です。
② 中期:少しずつ「自信」を積み上げる
少し元気が出てきたら、自己肯定感を育てるステップです。
- ポイント: 10〜15分の散歩、ゴミ出し、食器洗いなど「誰かの役に立っている」実感を持てる活動を取り入れます。
- アドバイス: 「元気そうだから学校に行けるかも」と急かすのは禁物。この時期のぶり返しが一番多いため、慎重に見守ります。
③ 後期:具体的な「次の一歩」を考える
「高校はどうしよう」「勉強しなきゃ」という考え・言葉が出始めたら、活動期のサインです。
- ポイント: 得意科目から1日15分だけ勉強する。通信制高校の資料を一緒に眺める。
- アドバイス: 「毎日やる」ことより「自分のペースで続けられる」ことを重視しましょう。
2. 「無気力」から脱却するための生活習慣改善プラン

「やる気が出ない」のは根性論ではなく、自律神経の乱れによる「脳の疲労」が原因であるケースがほとんどです。
以下の4つのアクションで、脳のコンディションを整えましょう。
① 「10時起床」からスタートする
学校と同じ7時に起きる必要はありません。まずは「午前中に布団から出る」を目標にします。
Tips: 起きたらすぐにベランダで日光を浴びましょう。脳内で「セロトニン」が分泌され、夜の寝つきが良くなります。
② 「入浴」で自律神経を整える
不登校が長引くと身だしなみが無頓着になりがちですが、入浴は最も簡単なリフレッシュ法です。
- シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることで睡眠の質が劇的に向上します。
③ 「家族との食事」で社会性を維持する
自室にこもらず、1食でも家族と同じ食卓を囲むことが、復帰時の対人不安を和らげる「リハビリ」になります。
④ 「15分のリズム運動」を取り入れる
人目が気になる場合は、早朝や夕方の散歩で構いません。「歩く」という一定のリズム運動は、不安を抑える効果があります。
3. 勉強への不安を解消する「スモールステップ学習術」
「勉強が止まっている」という不安と不安になっているかもしれませんが、いつからでも、どこからでもやり直せます。
まずは小さなことから始めてみましょう。
- 「5分だけ」のハードル設定: 漢字1つ、英単語3つからでOK。
- 好きな教科から始める: 苦手克服より、まずは「わかる」感覚を取り戻す。
- デジタル教材の活用: 対面が辛い時期は、スタディサプリやオンライン家庭教師など、一人で完結できるツールが有効です。
中3生へのメッセージ:
今は全日制高校以外にも、通信制高校や定時制高校など、多様な学び方があります。「今さら遅い」ということは絶対にありません。
4. 暇な時間を未来への武器に変える趣味・創作
ただ時間を消費するだけでなく、「生産する趣味」を持つと、自己肯定感が大きく高まります。
- タイピング練習: 将来の進路(通信制高校など)でPCは必須。ゲーム感覚で習得できます。
- イラスト・プログラミング: 自分の作品が形になる喜びは、大きな自信になります。
- 料理: 「自分の昼食を自分で作る」ことは、究極の自立支援です。
5. 保護者の方へ
子どもにとって、家が「責められる場所」であっては回復は望めません。
- 「期待」ではなく「信頼」を伝える: 「明日は行ける?」ではなく「あなたのペースで大丈夫」というメッセージを。
- 第三者の力を借りる: 親子だけでは感情的になりがちです。担任以外の先生、スクールカウンセラー、塾、オンライン支援など「斜めの関係」を介在させましょう。
6. まとめ
不登校の期間は、決して人生の空白ではありません。
自分と向き合い、生活を整え、好きなことに没頭する。その経験すべてが、将来のあなたを支える力になります。
焦らなくて大丈夫です。まずは明日、「10時に起きて太陽の光を浴びる」。その一歩から始めてみませんか?
次のステップへのチェックリスト
- [ ] 明日の起床時間を決める(10時でOK)
- [ ] 1回、深呼吸しながら外の空気を吸う
- [ ] 好きな教科の教科書を1ページだけ開く
- [ ] 気になる高校(通信制など)の名前を1つ検索してみる

