「もう何ヶ月も、何年も学校に行けていない」 「見守っているけれど、状況が全く変わらない」
結論から申し上げます。 不登校は、「解決」しようとすればするほど、解決しません。
少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは私が数多くの不登校事例や専門家の見解を分析し、たどり着いた真実です。
多くの親御さんが陥る「解決=再登校」という固定観念。
これこそが、実は不登校を長引かせ、親子ともに苦しめる最大の原因になっている可能性があります。
この記事では、きれいごとの共感だけではなく、「なぜ不登校は解決しないのか」について解説します。
1.なぜ「解決しよう」とすると、不登校は悪化するのか
実は不登校支援の現場では、「親が焦って解決を急ぐと、子どもは余計に動けなくなる」というパラドックスが常識となっています。
「再登校」をゴールに設定する危うさ
親にとっての「解決」のイメージは、多くの場合「元通りの学校生活に戻ること(再登校)」です。
しかし、子どもにとっての学校は、すでに「戦場」や「針のむしろ」になっていることが少なくありません。
心がエネルギー切れを起こしている子どもに対し、「学校に戻すこと」をゴールにして接すると、子どもは「学校に行かないことは駄目なことだ」などの自己否定につながりかねません。
子どもが動き出すためには、まず土台となる「安心・安全の欲求」が満たされる必要があります。
「解決(登校)」を急かす行為は、この土台をグラグラ揺らすことと同じです。
結果として、子どもは自分を守るために、さらに殻に閉じこもるしかなくなります。これが「解決しようとすると解決しない」メカニズムです。
「不登校」は問題行動ではなく「防衛反応」
風邪を引いたときに熱が出るのは、ウイルスと戦うための体の正常な反応です。
不登校も同じです。学校という環境が合わず、心が壊れそうになったからこそ、「行かない」という選択をして自分を守っているのです。
不登校は「問題」ではなく、命を守るための「正常な防衛反応」だと捉え直してください。
2.「待つだけ」では解決しない? 現代の不登校のリアル
近年、「不登校は無理させず、家でエネルギーが溜まるのを待ちましょう」というアドバイスが主流でした。
しかし、一方で「何年も待っているのに、昼夜逆転してゲームばかりで、一向に動き出さない」という相談も急増しています。
ここに、多くの記事では語られない「不都合な真実」があります。それは、ただ漫然と待つだけでは、解決しないケースが増えているということです。
「見守り」と「放置」の違い
「好きなことをさせて見守る」というのは、親が子どもに関心を持ち続け、情緒的な繋がりを保ちながら休ませることです。
一方で、親が腫れ物に触るように接し、部屋に食事を運ぶだけで会話もなく、子どもが社会との接点を完全に絶ってしまうのは「放置」になりかねません。
近年、教育心理の専門家からは、子どもが直面すべき「現実」を親がすべて先回りして排除してしまうことの弊害も指摘されています。
- 嫌なことはしなくていい
- 思い通りにならないことは避けよう
このような「無菌室」のような環境を家庭内で作りすぎてしまうと、子どもは社会という「思い通りにならない場所」に出る耐性を失ってしまいます(これを心理学的に「脱錯覚」の失敗と呼ぶこともあります)。
「無理やり行かせる」のはNGですが、「社会の現実を全く伝えない」のもまた、解決を遠ざける要因になります。
このバランスの難しさが、不登校が長期化する現代的な要因の一つです。
3.本当のゴールは「社会的自立」である
では、何を目標にすればいいのでしょうか。「再登校」という呪縛を捨て、「社会的自立」を新たなゴール設定にしてください。
3つの「自立ルート」を知る
「今の学校に戻ること」は、数ある選択肢のたった一つに過ぎません。
文部科学省も「登校という結果のみを目標としない」と明言しています。
お子さんの性格や状況に合わせて、以下の3つのルートを検討のテーブルに乗せてください。
- ルートA:元の学校への復帰
- いじめの原因が解消されたり、保健室登校などの配慮が得られる場合。
- ルートB:環境を変える(転校・通信制高校)
- 今の学校の校風や人間関係が合わない場合。通信制高校やフリースクールなど、多様な学びの場を選ぶことで、水を得た魚のように元気になる子は非常に多いです。
- ルートC:学校以外の場所で学ぶ(高卒認定・就職・起業)
- 集団生活そのものが苦痛な場合。独学や塾で高卒認定試験に合格し、大学へ進学する道もあります。
「学校に行かない=お先真っ暗」ではありません。
「学校には行っていないけれど、自分に合った方法で学び、社会とつながっている状態」こそが、目指すべき「解決」の姿です。
4.不登校が「解決しない」親御さんに共通する3つの特徴
ここからは少し耳の痛い話になるかもしれませんが、現状を打破するために、親御さん自身のマインドセットについて触れます。
不登校が長期化・膠着化しやすいご家庭には、いくつかの共通点が見られます。
① 原因探しをやめられない
「私の育て方が悪かったのか」「あの先生の対応のせいだ」「あの子がいじめなければ」 過去の原因を掘り下げても、時間は巻き戻せません。
原因分析は専門家に任せ、親は「今、この子とどう笑って過ごすか」「これからどうするか」という「未来」と「現在」に焦点を当ててください。
② 親自身の人生を楽しんでいない
これが最も重要かつ、見落とされがちなポイントです。
親が眉間にシワを寄せ、子どもの不登校のことばかり考えて暗い顔をしていると、子どもは「自分のせいで親を不幸にしている」と感じ、罪悪感でエネルギーを消耗します。
親が趣味や仕事に没頭し、家庭内で明るく過ごすこと。
これが、子どもにとって最大の安心材料となり、自立へのロールモデルとなります。
親が「子どもの課題」を背負いすぎず、課題の分離を行うことが解決への近道です。
③ 第三者の力を借りていない
「家庭内の問題は家庭で解決しなければ」と抱え込んでいませんか?
親子関係だけで解決しようとすると、どうしても感情的になったり、甘えが出たりして膠着します。
スクールカウンセラー、心療内科、民間の不登校支援センター、フリースクール、親の会。
「親以外の信頼できる大人」とのナナメの関係が、子どもの固まった心を溶かすきっかけになります。
まとめ
不登校は、数週間や数ヶ月で魔法のように解決するものではありません。らせん階段を登るように、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進んでいくものです。
しかし、断言できることがあります。 不登校という経験をしたからこそ、手に入れられる強さや優しさがあります。
学校という狭い価値観から解放され、自分らしい生き方を見つけた子どもたちは、驚くほど逞しく社会に羽ばたいていきます。
「再登校」という一つのゴールに縛られて、自分自身とお子さんを追い詰めないでください。
当塾では相談のみ受け付けています。不登校でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

