「高3の今になって急に学校に行けなくなった」
「卒業はしたいのに体がついてこない」
「親にも先生にも、理由をうまく説明できない」
高3の不登校は、中学生や高1・高2の不登校とはまったく性質が違います。
進路、将来、環境の変化、周囲の期待…あらゆるプレッシャーが集約する“高校生活で最も負荷の高い時期”だからです。
しかし安心してください。
高3で不登校になっても、卒業する方法・進路をつくる方法は複数あります。
この記事では、
- 高3で急に不登校になるよくある理由
- 親や先生に言語化しにくい「本当の負担」
- いますぐ取れる行動
- 卒業するための現実的な選択肢
- 病院や相談先の選び方
を、経験者の声と専門的視点を交えて整理します。
高3で急に不登校になるのは「甘え」ではない

高3は、
- 受験
- 進路決断
- クラスの雰囲気の変化
- 部活の引退による支えの消失
- 周囲の「最後なんだから頑張れ」という圧力
などが一気にのしかかる時期です。
特に次のようなケースは、突然の不調につながりやすいです。
①目的を見失った状態で学校に通い続けてきた
たとえば
「将来の夢は大学が必須ではない」
「進学校にいる意味が薄れた」
という状態だと、
“やる理由”が消えたのに義務だけ残る状態になります。
これは身体的にも精神的にも強いストレスになります。
②クラスの居心地が悪い
高3のクラスは受験モードで人間関係も変わりやすく、
- 雰囲気が合わない
- 居場所を感じられない
- ちょっとした人間関係のギクシャク
が引き金になります。
「自分でも原因がわからない」というのはよくあることで、実際は複数の要因が重なり合って心の限界を超えるのです。
③部活という心の支えがなくなった
部活を引退すると、
- ストレス発散の手段
- 楽しみ
- 仲間とのつながり
が一気になくなります。
急に体調を崩したタイミングで不登校が始まるのは、身体が限界を知らせているサインでもあります。
④学校・教師とのトラブル
進路指導の過程で、担任や学年主任と意見が対立し、信頼関係が崩れるケースです。
当塾で扱ったケースだと「休んだら卒業させない」「遅刻も許さない」といった、教育的指導の枠を超えた「脅し」に近い圧力を受け、不登校になってしまったケースがありました。
こうなると、本人がいくら頭で「卒業したい」と願っても、身体が拒否反応を起こしてしまいます。
「卒業できない」を回避するための3つの現実的な選択肢

「全日制高校を皆と同じように卒業する」ことだけが正解ではありません。今
の苦しい状態から抜け出し、かつ将来のキャリアを傷つけない方法は主に3つあります。
選択肢①:今の高校に在籍したまま「保健室登校」や「別室受験」を交渉する
【対象:あと少しの出席日数やテストだけで卒業できる人】
「教室」が怖いのであって、学校そのものが嫌いではない場合、または「あと数日行けば単位が足りる」という場合は、学校側と交渉の余地があります。
- 診断書の活用: 心療内科や精神科を受診し「適応障害」などの診断書をもらうことで、学校側が「病欠」扱いとして配慮してくれる場合があります(欠席日数の緩和や、別室でのテスト受験など)。
- 放課後登校: 生徒がいない時間帯に登校し、プリント提出などで出席扱いにする特例措置がないか確認しましょう。
注意点: 学校側(特に進学校や管理教育が強い学校)が柔軟な対応を拒否する場合、この交渉自体が本人にとって大きなストレスになり、症状を悪化させるリスクがあります。
選択肢②:通信制高校への「転入学(転校)」
【対象:出席日数が大幅に足りない・留年が確定しそうな人】
今の学校で留年が決まってしまっても、諦めるのはまだ早いです。
高校3年生の秋〜冬であっても、通信制高校への「転入学」を使えば、同級生と同じ時期(3月)に卒業できる可能性があります。
- 単位の引き継ぎ: 今までの高校で取得した単位は、基本的に引き継げます。
- 残りの単位だけ取得: 通信制高校では、足りない単位(例:あと数単位など)だけをレポートやスクーリングで取得すれば卒業できます。
重要なポイント: 「退学」してから入り直す(編入学)と、単位の認定が複雑になったり、卒業時期がズレたりする可能性があります。必ず「在籍したまま」転学の手続き(転入学)を進めてください。12月や1月が転入の締め切りになる学校も多いので、資料請求と相談は急ぐ必要があります。
選択肢③:高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)を受ける
【対象:高校卒業の資格にはこだわらず、大学・専門学校に行きたい人】
「高校卒業」という学歴ではなく、「大学受験資格」を得ることにシフトする方法です。 すでに高3であれば、多くの科目が「免除」になるはずです。足りない科目だけを高卒認定試験で合格すれば、大学や専門学校の受験が可能になります。
- メリット: 嫌な学校に1日も行く必要がなくなります。精神的な解放感は一番大きいです。
- デメリット: 最終学歴が「高校卒業」ではなくなるため(大学に進学すれば気になりませんが)、進学しない場合は「中卒」扱いになるリスクがあります。
親ができること・やってはいけないこと

お子さんが高3で不登校になった時、親御さんの動揺は計り知れません。「あと少しなのに」「ここまで頑張ったのに」という思いから、つい追い詰めてしまうことがあります。
ここでは親御さんがやらない方がいいこと、やった方がいいことについて整理していきます。
やってはいけないNG対応
- 「なんで?」と理由を問い詰める 本人は「自分でもなぜ行けないのか分からない」「理由は複合的で言葉にできない」状態です。問い詰められると、嘘をつくか、貝のように口を閉ざしてしまいます。
- 「あと少しだから頑張れ」という励まし 本人は誰よりも「あと少しだから頑張りたい」と思っています。それでも体が動かないのです。この言葉は、「お前の努力が足りない」と言われているように響き、追い詰められます。
- 学校と結託して無理やり連れて行く 先生と親が「敵」に見えた瞬間、子供は部屋に引きこもるしかなくなります。最悪の場合、親子の信頼関係が完全に崩壊します。
効果的なサポート「家を安全基地にする」
あるお母さんの事例を紹介します。 高3の息子さんが学校に行けなくなった時、担任からは「ひきこもりになる」と警告されました。
しかし、お母さんは気づきました。「私が心配しているのは息子の将来ではなく、中卒の母になりたくないという自分の世間体ではないか?」と。
そこで、親の正直な気持ちを認め、息子さんにこう伝えました。
「学校は最低限でいい。家では良く寝て、良く食べて、元気を保とう」
結果、息子さんは家でエネルギーを回復し、自分のペースで受験勉強を進め、志望校に合格しました。
こういったケースからわかるように親御さんがすべきは以下の3点です。
- 「休んでもいい」と心から認める: 「命や心より大事な学校なんてない」と腹を括ってください。親が動じなくなると、子供は安心して罪悪感から解放されます。
- 物理的な環境を整える: 美味しいご飯を作り、ふかふかの布団を用意する。生活リズムが昼夜逆転しても、ガミガミ言わずに見守る。「家は安心できる場所だ」と感じさせることが、再始動へのエネルギーになります。
- 情報収集は親が代行するが、決定は本人に: 通信制高校のパンフレットや高卒認定の仕組みなどは、親が調べてさりげなくテーブルに置いておく程度にします。「ここに行きなさい」ではなく「こういう道もあるよ」という提示にとどめ、選ぶのは本人に任せましょう。
【参考:今すぐ確認すべきチェックリスト】
- [ ] 現在の取得単位数と、卒業に必要な単位数の確認(担任へメール等で問い合わせ)
- [ ] 学校の「欠席許容日数」と現状の確認
- [ ] 地域の通信制高校の転入締め切り日の確認
- [ ] (体調が悪い場合)近隣の心療内科の予約
一人で抱え込まず、まずは現状を数字で把握することから始めましょう。具体的な数字が見えると、漠然とした不安は消えていきます。

